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Author:takayou
名古屋在住の35歳男性です。ソウル、ソフトロック、ポップスの、ややマニアックな名盤を紹介します。やはり良い音楽は、CDやLPとして持っておきたいものですね。


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COCTEAU TWINS その3

Heaven Or Las Vegas(紙ジャケット仕様)Heaven Or Las Vegas(紙ジャケット仕様)
(2005/02/23)
コクトー・ツインズ

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コクトーツインズの1990年の作品で最高傑作。世紀の名盤。前作までのモノトーンな印象は薄れ、カラフルなイメージが全体にあふれています。個人的な話ですが、コクトーツインズのレコードを最初に買ったのは、やはりフランスの芸術家、ジャン・コクトーのせいだと言って良いでしょう。
①の「CHERRY-COULORED FUNK」は、物憂い導入部から華やかなサビへと突入する瞬間が圧巻。アレンジも一層洗練されてきました。②の「PITCH THE BABY」はダンスビートの影響も垣間見える美しい曲。それにしてもこのようなキャッチーさは、前作には見られませんでした。③の「ICEBLINK LUCK」。こんなメジャー調の曲は今までのコクトーツインズにはありませんでした。しかもダンスビート。でもメロディーやコーラスは素晴らしい。④の「FIFTY-FIFTY CLOWN」も、オクターブコーラスが平原綾香を彷彿とさせる美しい曲。⑤のタイトル曲も、LIZの多重録音によるハーモニーが絶品!⑥の「I WEAR YOU RING」も印象的な曲。幽玄的な曲で、後のLUSHなどにつながる曲調。これだけのヴォーカルを重ねるのにどれだけのトラックを重ねるのでしょうか。まさに偏執狂的な曲。⑦の「FOTZEPOLITIC」も一聴したところ落ち着いた曲と思いきや、なかなか美しいメロディーを持っています。アヴァロンの頃のロキシーミュージックを彷彿とさせます。⑩の「FROU-FROU FOXES IN MIDSUMMER FIRES」はピアノ主体の静かで美しい曲。LIZの故郷、スコットランドを思わせる清冽なメロディーと美しい声が映える曲。

OLLIE NIGHTINGALE

スウィート・サレンダースウィート・サレンダー
(2005/08/05)
オリー・ナイチンゲイル

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1973年発表のサザンソウルの名盤。プロデュースは、ジーン・ミラー。演奏はハイの連中を中心とした豪華な布陣。彼の高音の粘度の高いヴォーカルスタイルはよくO.V.ライトに比較されます。
①の「HERE I AM」は三拍子の語りから入るバラード。キャンディ・ステイトンのヴァージョンも有名ですが、オリーの歌も素晴らしい!このアルバムは語りが多いのが特徴です。②の「I GAVE HER EVERYTHING BUT WHAT SHE NEEDED」もハチロクのティアジャーカーなバラード。名曲です。③の「IT'S A SAD THING」はハネたリズムが心地よい、ファンキーな曲。O.V.の「8 MEN…」を彷彿とさせる曲調。ギターのリフがカッコいい。④の「STANDING ON A PROMISE」は再びハチロクのブルージーなバラード。⑤の「A GOOD WOMAN AT HOME」はかなりアシッドなミディアムファンク。サウンド的にはかなり個人的に興味があります。⑥の「HOW FAR AM I FROM NEW YORK CITY」も重厚なゴスペルタッチの曲。⑦の「MAY THE BEST MAN WIN」は典型的なサザンソウルのハチロクバラード。サビに入る時のお決まりのマイナーコードが気持ち良い。⑧の「I'M IN LOVE」は、ウィルソン・ピケットでおなじみの曲。オリーのヴァージョンも負けず劣らず感動的!それにしても冒頭の語りに始まり、サビで歌に入ると天を衝くような高音のシャウト。最高です。⑩の「I'LL TAKE CARE OF YOU」はブルック・ベントンの曲。本アルバム唯一のマイナー調の曲。ロータリーオルガンが時代を感じさせます。⑪のタイトル曲は、アメリカのソフトロックグループ「BREAD」に在籍していたDAVID GATESの曲。原曲のファルセットを駆使したソフトな仕上がりとは一変した、シャウトバリバリの彼のヴァージョンも面白いと思います。

PAUL McCARTNEY (その3)

フラワーズ・イン・ザ・ダートフラワーズ・イン・ザ・ダート
(1995/11/08)
ポール・マッカートニー

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1989年発表。まぎれもない名盤!ポールは、①ビートルズ解散後、傑作メロディのオンパレードだけどもラフなアレンジで酷評を得た「ポール・マッカートニー」から「バンド・オン・ザ・ラン」に至る時期、②「ヴィーナス~」から「バック・トゥー・ジ・エッグ」までの、ウィングスとしてのバンドサウンドは完成されているけれども、曲自体の質は今一歩という時期(ピンポイントでいい曲はありますが、いい曲密度が低下したという点で)、③ウィングス解散後の「マッカートニーⅡ」から「プレス~」までの低迷期を経て、起死回生の本アルバムが、エルヴィス・コステロの協力を得て生まれたわけです。
①の「MY BRAVE FACE」はファーストシングルカットされた、ビートルズっぽいメロディーを持つキャッチーな曲(歌詞は彼女に逃げられたという内容ですが)。エルヴィスとの共作でもあります。ポールはあの懐かしいヘフナーのバイオリンベースで、カッコよすぎるリフを弾いています。②の「ROUGH AND RIDE」はエレクトロファンクっぽいアレンジこそ時代を感じさせますが、メロディーは超一級品の名曲。ちょっとダルな感じが最高。③の「YOU WANT HER TOO」は3拍子の曲で、「アナザー・デイ」を彷彿させる曲。コステロがあいの手を入れています。④の「DISTRACTIONS」はポールの全キャリアの中でも、屈指の名バラード。永遠に終わってほしくないと思わせる稀有な曲です。ポールはこのような曲を歌わせると本当に上手い。出だしのコードの入り方と間奏の全音上がって転調するアコギの感じが「AND I LOVE HER」に似ています。サビでいつのまにか転調していますが、普通に聞いていては全然わかりませんでした。歌詞も泣けます!ちなみに日本では島田歌穂がこの曲をカバーしていました。⑤の「WE GOT MARRIED」もやはりマイナー調のメロディーですがポールらしい美しい曲です。ピンク・フロイドのデイヴィッド・ギルモアが参加しており、あの独特の重っ苦しくて大仰なギターを聞かせてくれます。⑥の「PUT IT THERE」は可愛らしい小曲。ポールが、まるで「ブラックバード」を思わせるようなアコギを弾いてくれています。⑦の「FIGURE OF EIGHT」は、一転してヒューイ・ルイスあたりが演りそうなアメンカンテイストあふれる曲。⑧の「THIS ONE」はセカンドシングルカットされた曲。やはりキャッチーなポールならではという曲。アヴェレージ・ホワイト・バンドのハミッシュ・スチュワートがギターで参加。⑨の「DON'T BE CARELESS LOVE」はポールの七色のヴォーカルテクニックを存分に味わえる曲。頼りなげに高音へと駆け上がっていくAメロとサビのシャウト気味のヴォーカルとの対比はどうでしょう。⑩の「THAT DAY IS DONE」は3拍子の荘厳な曲。左チャンネルから聞こえる、ニッキー・ホプキンスのピアノがそれに華を添えます。⑪の「HOW MANY PEOPLE」はレゲエ調の曲で、本アルバムのなかでははっきり言って浮いた印象です。曲も「C MOON」の出来損ないみたいで散漫な印象で唯一の汚点です。⑫の「MOTOR OF LOVE」も3拍子の壮大なバラード。ジャーニーの「OPEN YOUR ARMS」をヨーロピアンにしたような感じの曲。⑬の「OU EST LE SOLEIL」はラテン調の曲。歌詞はなぜかフランス語です。ビートルズ時代のジョンの曲、「SUN KING」への返答だったら面白いですね。

NEIL YOUNG

Neil Young Neil Young
Neil Young (1990/10/25)
Reprise
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ニール・ヤングのソロ一作目(1969年)。ニールの作品、特に初期のものはどれも水準が高く、この一枚というものを選ぶのは難しいのでとりあえず今回はこれをご紹介し、あとはまた後日ということでご勘弁ください。
①の「THE EMPEROR OF WYOMING」はいきなりのカントリーフォークな感じで、バッファローでの雰囲気とは全く違い度肝を抜かれます。②の「THE LONER」は名曲。その後のニールを占うような独特のコード進行が見られます。

G7 D7 G7 D7
G Am Dm Dm

セブンスで始まり、いつのまにかマイナーで終わってしまうという、分裂症的な流れの萌芽がここに見られます。またこの曲を聴くと、70年代初めの日本のロックに与えた影響を感じます(特に、鈴木茂や村松邦男などのギターリスト)。③の「IF I COULD HAVE HER TONIGHT」は後の「アフター・ザ・ゴールドラッシュ」に見られるようなモノローグ的な感じの曲。④「I'VE BEEN WAITING FOR YOU」 はマイナー調の名曲。「サザンマン」の先駆的な作品。ニールのギターソロが左右にパンしてシュールな感じ。デヴィッド・ボウイ、ピクシーズ、ダイナソーJr.などのカバーもあります。この曲もそうですが、本アルバムではニールのヴォーカルがずいぶん引っ込んだ感じがします。これはこれでまた効果的だと思います。⑤の「THE OLD LAUGHING LADY」は静かな出だしですが、終盤からゴスペル調のコーラスとジャック・ニーチェの編曲によるストリングスオーケストラが入り、荘厳な感じです。⑥の「STRING QUARTET FROM WHISKEY BOOT HILL」はジャックによるヴァイオリンの淋しい音色の間奏曲。⑦の「HERE WE ARE IN THE YEARS」はジェームス・テイラーよりも前に田舎回帰を歌った曲。
このアルバムの曲は暗い曲が多いのが特徴です。いわば、ニールのモノローグというか私小説的な曲が多く、誰のためにというわけでもなく彼はつぶやくように歌っています。感情を内に秘めたような、なにか悲しげな彼の歌は聴く者の心を打ちます。後年の「ゴールドラッシュ」や「ハーヴェスト」、「今宵…」などのアルバムとぜひ聞き比べてください。

LEE DORSEY

Yes We CanYes We Can
(1993/02/23)
Lee Dorsey

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ニューオリンズのシンガー、リー・ドーシーが1970年に発表した名盤。プロデュースは言わずと知れたアラン・トゥーサン(ハッピーマンデーズがぱくった、「レディーママレード」も彼が手がけていました)で演奏はミーターズと言われています。
①の「Yes We Can Part1」のイントロの、ニューオリンズ名物セカンドラインビートにまずノックアウトされます。シンプルで音もスカスカなのになんでこんなにカッコいいんだろうと感心させられます。ポインターシスターズが「Yes We Can Can」としてカバーしていますが、さらにそれがラップでよくサンプリングされています。後輩のミーターズのカバーも最高! 余談になりますが、ドーシーの古い作品「Ya Ya」はジョンレノンにカバーされ、それがサザンオールスターズの曲のタイトルになっているなど、彼の影響は意外なところにあらわれています。ホーンセクションも最高。②の「Sneakin' Sally Thru The Alley」はロバート・パーマもカバーした渋い曲。④の「Riverboat」も名曲としか言いようのない曲で、やはりロバート・パーマやヴァン・ダイク・パークス(ソウルグループじゃない方)がカバーしています。⑥の「If I Were A Carpenter」はご存じティム・ハーディンのカバー。⑦の「When The Bill's Paid」は雰囲気的にBob&Earlの「Harlem Shuffle」を連想させます。同時期のモータウンのサイケファンクの影響を受けていそう。⑧の「A Place We Can Be Free」もご機嫌な曲。キャッチーなメロディーが素晴らしい曲。⑨の「Hello Good Looking」はカントリーのハンク・ウィリアムズの持ち歌。⑩の「As Quiet As It's Kept」はコースターズのメンバーでもあるビリー・ガイのカバー。これまた渋いアレンジで好感が持てます。⑫の「Games People Play」は南部のスワンプミュージシャン、ジョー・サウスのカバー。⑬の「On Your Way Down」はリトル・フィートの秀逸なカバーで有名な曲です。カバーの方は重めに仕上がっていますが、こちらはあっさりとしたアレンジ。⑭の「Tears Tears More Tears」はエルヴィス・コステロもカバーした曲。とにかくサビが最高にカッコいい。⑰の「Gator Teil」のアーシーなギターのカッティングと動き回るベースは一聴の価値があります。⑱の「Who's Gonna Help Brother Get Further」は何と言ってもベース。ファンキーさはなにも音数ではないということを教えてくれます。


MARVIN GAYE(その2)

ミッドナイト・ラヴ(紙ジャケット仕様)ミッドナイト・ラヴ(紙ジャケット仕様)
(2011/04/06)
マーヴィン・ゲイ

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マーヴィンが生前最後に発表した最後のアルバム。1982年発表。離婚や借金問題、ドラッグ漬けでボロボロになっていたマーヴィンがモータウンからCBSに移籍して放った最後の奇跡。ローランドのTR-808を使用したチープな打ちこみサウンドが、その後のR&Bの先駆的役割を果たしたことはよく知られています。
①の「MIDNIGHT LADY」は刹那的なダンスフロアを歌った曲。ミニマムな打ちこみサウンドなのにこれだけ素晴らしいのは、他にはスライの「フレッシュ」、プリンスの「サイン・オブ・ザ・タイムズ」くらいです。もっとも、マーヴィン自身はもっとパーソナルな内容のアルバムにしたかったようですが、友人でプロデューサーのHARVEY FUQUAのもっとコンテンポラリーで売れ線の内容にするべきという忠告に従ったようですが。②の「SEXUAL HEALING」は1stシングルカットされ全米No.3ヒットを記録した曲。タイトル通り、欲求不満な内容の歌詞です。808(ヤオヤ)のリズムに、Gordon Banksのカッティングが気持ちいい曲。最後のフェイド・アウトのどさくさにまぎれてとんでもない歌詞を歌っています。③の「ROCKIN' AFTER MIDNIGHT」もやはり、ただやりたいだけの歌詞ですが、雰囲気的には初期の「STUBBORN KIND OF FELLOW」に似ています。④の「'TILL TOMORROW」は幽玄な3連ラブバラード。マーヴィンの語り、バリトン、ファルセット、多重コーラスが味わえる絶品の曲です。⑤の「TURN ON SOME MUSIC」の歌詞も意味深でエッチな歌です。戦前デルタブルースの頃から脈々と受け継がれている暗喩の描写が光っています。⑥の「THIRD WORLD GIRL」はタイトルからも想像できるように、レゲエから影響を受けたような曲ですが、いかにもジャマイカに対してステレオタイプ過ぎるような気がします。⑦の「JOY」もシングルカットされた曲。エレクトリックファンクっぽさが、いかに80年代という感じです。⑧の「MY LOVE IS WAITING」は、本アルバム製作に協力してくれた、HARVEYやGORDON、そして神への謝辞から入ります。ギターリストのGORDONの作による実に心温まるミディアムに仕上がっています。

LUSH

SpookySpooky
(1992/02/04)
Lush

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イギリスの男女混成バンド、ラッシュ(カナダのプログレっぽいバンドと混同しないように!)が1992年に発表したデビュー作にして大名盤。プロデュースは、コクトーツインズのロビン・ガスリーで、いわゆるシューゲナイザーサウンドが特色。フェイザーっぽく歪ませたギターサウンドの壁、幽玄なエフェクトをかけた女声ボーカルと厚いハーモニー、ダンスビート、そして何よりも哀愁を帯びたメロディーラインが秀逸。全体としてはやはりコクトーツインズに似た感じになっていますが、ボーカルはコクトーツインズのフレイザーよりもクセがなく、ライドのように譜割を大きくとったメロディーで、よりキャッチーであるといえます。
①の「STRAY」はプレリュード的な短い曲。②の「NOTHING NATURAL」は彼らを代表する完璧な曲。上記の「定義」をすべて満たしています。③の「TINY SMILES」は3拍子と5拍子を繰り返すパターンの曲。④の「COVERT」は12分の9拍子の変わったリズムパターンの曲ですが、これまた美しいマイナー調のメロディーが印象的な曲。⑥の「FOR LOVE」はシングルカットされた曲で、彼らの最高傑作といえる曲。印象的なベースのリフと、非常にキャッチーなメロディー。シューゲナイザー色は薄いのですが、その分美しいメロディーラインが映えます。コード進行で言うと、E⇒Cの繰り返しからC♯mに移るところなんかゾクゾクする瞬間です。この1曲のみでもこのアルバムは買いでしょう。⑦の「SUPERBLAST!」は珍しくタイトなバンドらしい曲。⑧の「UNTOGETHER」は一転してかわいらしい曲。⑩の「TAKE」はマイナーメロディーの日本人受けしそうな曲。⑪の「LAURA」は6拍子の変態的な曲。⑫の「MONOCHROME」は3拍子のバラード。これまた美しい美メロを誇る佳曲。
彼らのライブをYOUTUBEなどで見ると稚拙でひどいのですが、スタジオ盤をここまでの傑作にしてしまうロビンの才能に脱帽です。

HAPPY MONDAYS

ピルズ・ン・スリルズ・アンド・ベリーエイクスピルズ・ン・スリルズ・アンド・ベリーエイクス
(2007/08/22)
ハッピー・マンデーズ

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マンチェスター出身のバンド、ハッピーマンデーズが1990年に発表した奇跡の名盤。当時のマンチェスターブームの中、ストーンローゼズと双壁をなしていて、ビートルズ=ストーン・ローゼズ、ローリング・ストーンズ=ハッピー・マンデーズといった図式で語られていたりしたもんです。反復するダンスビートとカッコよすぎるギターリフにずいぶんと陶酔させられたものです。彼らのダウナーで重たいビートは、スライの「暴動」にある意味共通点があるかもしれません。プロデュースは、マンチェレイヴの立役者、ポール・オークンフォールドとスティーヴ・オズボーン。
余談になりますが、当時のマンチェブームで活躍したバンドはほとんど一発屋に近いのはなぜでしょう。マンデーズの自作「Yes Please」は、はっきり言ってつまらないし、ローゼズのセカンドも良くない。シャーラタンズもファーストがベスト。ダンス音楽の宿命なのでしょうか、刹那的な儚さの美学さえ感じると言っては言いすぎでしょうか。ただし、マンデーズの成功はプロデューサーの力量によるところが大きいと思います。
①の「Kinky Afro」は何種類かのギターリフの組み立てだけでこんなにカッコいい曲ができるのかという典型例。コーラスは、ラベルの「レディー・マーマレード」をサンプリング。コード進行はⅠm⇒Ⅳをひたすら反復します。②の「God's Cop」はメージャーコードにはなりますが、①と同様の組み立ての曲。それにしてもショーン・ライダーの投げやり風なボーカルは独特です。③の「Donovan」はやや落ち着いた曲ですが、サビのところで爆発するギターのカッティングが最高。④の「Grandbag's Funeral」はひっかかるようなギターリフが印象的な曲。⑤の「Loose Fit」は3rdシングルカット曲。クールなギターリフが最高。⑥の「Dennis and Lois」は軽快なピアノも入って楽しい曲。⑦の「Bob's Yer Uncle」は一転して低音で呟くようなボーカルとラテンっぽいビートがクールな曲。⑧の「Step On」は南アフリカ出身の異色ミュージシャン、John Kongosの1970年ころの作品のカバー。原曲は、アフリカのミュージシャンを起用しており、サイケでフォーキーでイナたくて、これはこれで最高にカッコいいのですが、マンデーズもそれをうまく解釈しています。ホンキートンク調のピアノも最高。

ERIC CLAPTON

There\'s One in Every CrowdThere\'s One in Every Crowd
(2007/07/10)
Eric Clapton

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75年発表。クラプトンはその時代時代でそれぞれの良さがあります。どれも捨てがたいのですが、個人的な好みでは、このアルバムとブラインドフェイスは特に大好きです。ソロでは、「461」や「スローハンド」などいくぶん華やかなアルバムに比べると、本作は渋さの限りを尽くしたものになっていますが、そこがまた良いのです。特にB面は名曲ぞろいです。アル中状態の当時、よくこんな名作を作ることができたと感嘆させられます。
①の「WE'VE BEEN TOLD(JESUS COMING SOON)」はトラディショナルブルースのカバーでブラインド・ウィリー・ジョンソンのバージョンで有名な曲。ウィリーのダミ声コテコテも好きだが、本作もエリックのレイドバックしたボーカルとアコギの音が気持ち良い。②の「SWING LOW SWING CHARIOT」はいわゆる「黒人霊歌」。レゲエ調のアレンジにしている。この曲もアコギが基調。③の「LITTLE RACHEL」いかにもタルササウンドっぽいレイドバックした曲。渋い。④の「DON'T BLAME ME」はモロにボブ・マーリーといった曲調と歌い方。⑤の「THE SKY IS CRYING」はエルモア・ジェイムズの有名なブルースのカバー。原曲は三連ですが、本バージョンでは4/4拍子で演奏されています。ボーカルの「The sky is crying…」といった呟きに近いボーカルから曲に入ります。オリジナルの張り裂けそうな演奏と歌と比べると、エリックの場合はレイドバックが諦観を漂わせている感じがします。⑥の「SINGIN' THE BLUES」でエリックは一番ギターを弾いています。ご機嫌なナンバー。⑦の「BETTER MAKE IT THROUGH TODAY」こそ渋さの局地。ある意味ワビサビに通ずるものがあります。アコギとオルガンの音色も最高。間奏に入るところで転調するのですが、ここでのギターソロも最高。⑧の「PRETTY BLUE EYES」はタイトル通り、ラブリーでアコースティックな曲。間奏のコーラスも意表をつく展開。⑨の「HIGH」はスライドギターが印象的な曲。どこかツェッペリンの「レヴィー・ブレイク」のリフに似ています。⑩の「OPPOSITES」もまた渋すぎる曲。禅問答のような歌詞がまた奥深いのです。

Night after day, day after night
Light after dark, dark after light
Fight after peace, peace after fight
Life after death, death after life

ジョン・レノンが書きそうな歌詞です。最後のエンディングはまるで天にも昇るような明るさと開放感があります。

JANIS JOPLIN

コズミック・ブルースを歌うコズミック・ブルースを歌う
(2004/08/04)
ジャニス・ジョプリン

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69年発表。ビッグブラザー&ザ・ホールディングカンパニーの演奏をバックにした「チープ・スリル」に続く実質的なセカンド。演奏は粗削りながら比較的キャッチーで勢いのあるファースト、ラストの最高傑作「パール」と比較すると地味な印象は否めませんが、このアルバムも聞けば聞くほど素晴らしさが増幅されてくる不思議なアルバムです。演奏は「コズミック・ブルース・バンド」に変わりましたが、バーケイズに影響を受けたというだけあって、スタックスっぽい印象を受けます。
①の「TRY(JUST A LITTLE BIT HARDER)」はチップ・テイラーとジェリー・ラゴヴォイ作のファンキーな曲(チープ・スリルでも、「PIECE OF MY HEART」というラゴヴォイの曲を取り上げていました)。ジャニスの全キャリアの中でも、特にカッコいい曲のうちの一つ。ホーンセクションも最高。②の「MAYBE」は有名なスタンダードでドゥーワップグループのシャンテルズのバージョンが有名。三連のスローバラード。たしかレッチリもライブで演っていたと思います。オルガンとホーンの音色が涙を誘います。③の「ONE GOOD MAN」はジャニス作のオリジナル曲でスローブルース。④の「AS GOOD AS YOU'VE BEEN T THIS WORLD」はファンキーな曲。イントロがやたらに長いのが特徴。リズムが最高にカッコいい。⑤の「TO LOVE SOMEBODY」はお馴染みビージーズのカバー。サビの歌詞を「to love somebody」ではなくて「to love anybody」と改変しているのがミソ。ジャニスの独特の希求感があらわれているのかもしれません。特定の誰かではなく、抽象的な真実の愛を意味しているのでしょうか。⑥の「KOZMIC BLUES」はマイナー調3連スローで始まり、サビでメジャーに転調する部分の解放感が素晴らしい曲。⑦の「LITTLE GIRL BLUE」はミュージカル「JUMBO」の挿入歌で数多のカバーバージョンがある三連のしっとりとした曲。歌詞はだいぶ改変されています。カーペンターズのバージョンと聴き比べるとまるで別の曲のようです。⑧の「WORK ME LOAD」も三連のサザンソウルっぽいスローで雄大な曲。ラストにふさわしいといえます。

MAMA CASS (CASS ELLIOT)

私の小さな夢私の小さな夢
(2001/06/27)
ママ・キャス

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ママ・キャスが、ママス&パパスの解散後、初めて発表したソロ作。1968年発表。プロデュースはジョン・サイモン。レコーディングは10日もかからなかったという、ほとんどライブ盤に近いノリが特徴です。構成としては、コンセプトアルバムっぽい感じがします。曲調も、ブルースからカントリー、クラシックからジャズ、アメリカンルーツミュージックなど、ママス&パパスではできなかったことをやってみたいという本人の弁どおり、多彩なアレンジが施されています。参加ミュージシャンも超一流ぞろいです。
①の「DREAM A LITTLE DREAM」は有名なスタンダード曲のカバーで、ジャジーなアレンジが素敵。②の「CALIFORNIA EARTHQUAKE」は、ブルーグラスミュージシャンのジョン・ハートフォードの曲。意外とグルーヴィーなアレンジがされています。③の「ROOM NOBODY LIVES IN」は、ラヴィン・スプーンフルのジョン・セバスチャンの曲。ストリングの演奏のみをバックに歌う、スローでドリーミーなバラード。④の「TALKING TO YOUR TOOTHBRUSH」はジョン・サイモンのペンによる曲。今度はドブロギターのスライドが渋い、ブルージーな曲。⑤の「BLUES FOR BREAKFAST」は、THE BANDのリチャード・マニュエルの曲。ボブ・デュラン&ザ・バンドの「地下室」にも収録されている曲。三連のピアノがカッコよすぎる。⑥の「YOU KNOW WHO I AM」はレナード・コーエンのバラード。マイナー調の導入部から、壮大なサビへと突入する瞬間が最高。⑦の「RUBBER BAND」はブラスバンドの演奏がバックの愉快な曲。⑧の「LONG TIME LOVING YOU」は、スチュワート・シャーフのクラシカルな曲。⑨の「JANE, THE INSANE DOG LADY」は一転してC&W。とにかくこのアルバムは、めまぐるしく曲調が変わります。⑩の「WHAT WAS I THINKING OF」はクラシカルでブルージーで、なおかつ古き良き時代を思わせる曲。⑪の「BURN YOUR HATRED」は、ホリーズのグレハム・ナッシュの曲。ディミニッシュのコード進行とドブロギターが幻想的なカントリータッチの曲。

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