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Author:takayou
名古屋在住の35歳男性です。ソウル、ソフトロック、ポップスの、ややマニアックな名盤を紹介します。やはり良い音楽は、CDやLPとして持っておきたいものですね。


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O. V. WRIGHT

O.V.ボックス(紙ジャケット仕様)O.V.ボックス(紙ジャケット仕様)
(2007/12/19)
O.V.ライト

商品詳細を見る


ようやく再発売されました。
伝説のソウルシンガーの初期から全盛期にかけてのBOXセットです。中には5枚のCDが収められています。
まず、1枚目の「8 MEN AND 4 MEN」です。
①のタイトル曲はマイナー調のキャッチーな曲。彼の最初のヒット曲でもあります。O.V.のあえて抑えたヴォーカルが素晴らしい。②、③と2曲の3連ロッカバラードをはさんで(②のお洒落なコード進行は秀逸)④の「DON'T WANT SIT DOWN」は初期のJBスタイルの曲。そういえば、JBのアポロでのライブ盤で、OVの曲が数フレーズ挿入されていました。お互いに意識しあっていたのでしょう。⑤の「EVERYBODY KNOWS」は哀愁漂う傑作。イントロのAmで入り、歌はCから始まります。しかし、最初の音はAのままです。最後はAmで終わるという展開が素晴らしい。また、この曲の歌詞がせつなすぎます。

私は惨めだった、私は疲れ果てた
私はただミシシッピー川のほとりに座って、泳いでいる魚を眺めている
私の人生は数奇なものだったけれど死にたくはない
天国に行きたいとは思うけれど、飛んでいくことがこわい
私にできることは、ただブルースをうたうことだけ
ただ、うたい続けるだけ

O.V.の人生を思うと流れ出る涙を止めることができません。⑨の「YOU'RE GONNA MAKE ME CRY」はスローブルース。D7 G7 D7 G7 Bm と、マイナーが途中に入るので独特の雰囲気があります。また女性コーラスのブルーノートも素晴らしい。
次は2枚目の「NUCLEUS OF SOUL」。
①の「BLOWING IN THE WIND」。「ソウルの核」というアルバムタイトルなのに、なぜディランなのかという気もします。②の「GONANA FORGET ABOUT YOU」はよくできた佳曲。D7 G7 D7 G7 F♯7 Bm G7 というブルージーさと、ほどよい哀愁を兼ねそろえたコード進行です。⑤の「WHY NOT GIVE ME A CHANCE」はスローバラードの佳曲。O.V.の胸に染み入るようなヴォーカルが素晴らしい。⑥の「PLEDGING MY LOVE」はジョニー・エースで有名な曲ですね。⑦の「THIS HURT IS REAL」はマイナー3連のヘビーな曲。O.V.のヴォーカルも鬼気迫るものがあります。⑧の「I'LL HATE MYSELF TOMMORROW」でのヴォーカルもすごい。もがき苦しみ悩む主人公を見事なまでに歌いきっています。
そして、3枚目の「A NICKEL AND A NAIL AND THE ACE OF SPADES」。本作からバックの演奏がハイの連中になり、モダンなサウンドとなります。彼の全盛期へと突入します。
①の「DON'T LET MY BABY RIDE」はブルージーな曲。O.V.のヴォーカルにはますます磨きがかかっています。②の「BORN ALL OVER」はスローの3連。マイナーで始まり、6度の♭をはさみメジャーで終わるコード進行もおもしろい。③の「ACE OF SPADES」はシャッフルの曲で彼の代表作のひとつ。2オクターブ上のE音を軽々と歌い切る彼のハイトーンにはただただ脱帽です。⑤の「HE MADE WOMAN FOR MAN」は一転して軽い感じの曲ですが、彼のヴォーカルは熱いものがあります。⑥の「I CAN'T TAKE IT」はマイナーバラード。ケンカした彼女が次の日の早朝に家を出て行ってしまうという、ステレオタイプの歌詞ですが、O.V.のかなしいヴォーカルが胸を打ちます。⑦の「AFFLICTED」もスローの3連バラード。この曲のヴォーカルもすごい。⑧の「WHEN YOU TOOK YOUR LOVE FROM ME」もこれまたスローバラードの名曲。本アルバムのハイライトのひとつ。去り行く恋人に対して切々と歌い切るヴォーカルは本当に素晴らしい。⑨の「A NICKEL AND A NAIL」はマイナー調のミディアム。ハイトーンの連続ヴォーカルです。
4枚目の「MENPHIS UNLIMITED」に入ります。男女の関係を歌った歌は少なくなり、内省的な歌詞が多くなります。
①の「I'VE BEEN SEARCHING」はややファンキーな曲。

私はずっと探し続けている
私はずっと探し続けている
私は探しているものを見つけることができない・・・

彼はなにを探し続けていたのでしょうか。②の「NOTHING COMES TO A SLEEPER」もタイトなミディアム。③の「THE ONLY THING THAT SAVED ME」はヘヴィーな歌詞の曲を淡々と歌います。④の「HE'S MAY SON」はバラードの大傑作。まずは、歌詞を見てください。

刑期(兵役?)を終えて家に帰ってきた
そこには子供が一人いた
その子供は私の子ではないことがわかった
私の子供ではない、そんなはずはない
私の刑期は5年、その子はまだ3歳
ああ神よ、その顔、しぐさ、その子は私に瓜二つなのです
その子は私と同じ名前がつけられていた
私はこの子を愛している
この子はやはり私の子なのだから

この子は本当にかわいらしい
この子が私にそっくりである理由は
私の兄がこの子の父親だからだ
たった一度の過ちをおかしたと妻は言った
それは単なる事故
妻はその後、兄とは会っていない
「どうか私を許してほしい」
どうかこの子を愛してほしい
この子はやはり君の子なのだから

そのことを思うとかなしくて、胸が張り裂けそうになる
それでもこの子のことを愛している
この子はやはり私の息子
この子のことを愛してる、愛してる

何という深くて重い歌詞でしょう。この曲をO.V.は淡々と抑えて歌っているように思われますが、それだけにかえって人生の苦しさ、深さ、愛情がせつせつと伝わってきます。まさにビリー・ホリデーの「奇妙な果実」に匹敵する曲といえます。⑤の「YOU MUST BELIEVE IN YOURSELF」はファンキーな曲。⑥の「LOST IN THE SHUFFLE」はタイトなミディアムの好曲。⑦の「I'D RATHER BE BLIND,CLIPPLE,AND CRAZY」はシャッフル調のキャッチーな曲。⑧の「PLEASE FORGIVE ME」はスローバラード。サム・クック調のフレージングを随所に聞くことができます。⑩の「GHETTO CHILD」はマイナー調の悲しげなバラード。ゲットーの貧しい子供のことを歌った曲です。⑪もやはりマイナーバラード。去っていった恋人が忘れられないといった歌詞の曲ですが、やはりO.V.はあえて感情を抑えて切々と歌います。⑫のトラディショナルなゴスペル「I'M GOING HOME」の歌詞も彼の人生を投影しているようで、まともに聴くことができません。

もうすぐ、この世での苦しみともおさらばだ
私は神の御許へ帰っていく
そこではもう泣いたりかなしんだりすることはない
私は神の御許へ帰っていく
そこでは愛する私の母に会うことができる
私は神の御許へ帰っていく
そこではもう誰も死ぬことはない
私は神の御許へ帰っていく・・・

5枚目はシングル集。
①の「THAT'S HOW STRONG MY LOVE IS」は彼のキャリアにおいてターニングポイントとなった曲。オーティスやストーンズなど数多くのカバーがあります。⑱の「WITHOUT YOU」はハイに移籍後初の作品。しっとりとした3連バラード。彼のヴォーカルの素晴らしさを十分に堪能できる作品です。

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O.V.WRIGHT その2

ライヴ・イン・ジャパン ライヴ・イン・ジャパン
O.V.ライト (1990/02/10)
ブルース・インターアクションズ
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O.V.の晩年の日本でのライヴ盤。当時は立つのもやっという状態だったらしいのですが、最期の気力を振り絞るような彼の歌に強く打たれます。①の「I'D RATHER BE BLIND,CRIPPLED AND CRAZY」から、O.V.の歌、ハイリズムのバックは素晴らしい。特にベースの音が素晴らしく、ドラムもスタジオ盤より手数が多く、本当にもう最高です。②の「ACE OF SPADES」も良い。バックの演奏はスタジオ盤よりも良いと思えるほど。③の「EIGHT MEN AND FOUR WOMEN」も名曲ですね。余談になりますが、JBの「LIVE AT THE APOLLO」の最後のメドレーでこの曲がちょっとだけ登場します。④の「PRECIOUS,PRECIOUS」は先日紹介したオーティス・クレーのヒット曲。O.V.の歌もすごく良い。⑤の「LONE AND HAPPINESS」はアル・グリーンの曲。この演奏はちょっと感心しません。これまた余談になりますが、この曲からシェリル・リンの「GOT TO BE REAL」と来てドリカムの「決戦は金曜日」につながっていったような気がします。⑥のメドレーは同じくアルの「GOD BLESSED OUR LOVE」、パーシー・スレッジの「WHEN A MAN LOVE A WOMAN」、O.V.のデビュー曲で超名曲の「THAT'S HOW STRONG MY LOVE IS」(歌詞も泣ける)、自身の「YOU'RE GONNA MAKE ME CRY」(これも先ほどのJBに入っていた)の4曲。⑦の「INTO SOMETHING」。ホーンのリフがステーヴィー・ワンダーの「迷信」っぽい。
ちなみに私はこのアルバムのCD盤を持っていますが、「LIVE IN JAPAN」と言っておきながらジャケットの写真がハングルのネオンが並ぶ夜の都会の風景で違和感を覚えました。またあろうことか、夜景の上に浮かぶO.V.の顔がヒゲを生やした金正日に似てなくもないのです。アメリカ人にとってみれば日本も韓国も同じようなものなのでしょうか。

O.V.ライトを中心としたサザンソウルについて、社会学者の中河伸俊先生という方の興味深い論文がありました。
http://homepage2.nifty.com/tipitina/KOKUKEN.html

O.V.WRIGHT

ベスト・オブ・O.V.ライト ベスト・オブ・O.V.ライト
O.V.ライト (2003/09/26)
ユニバーサルインターナショナル
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偉大なるソウルシンガー、O.V.ライト。全身全霊をこめて歌い、その歌に散ったその生涯を思いながらレコードを聴くと、本当に胸が熱くなります。どうして彼ほどの偉大なシンガーの作品が、満足に残されていないのか不思議でなりません。残念ながら残念ながらCDではベスト盤しか発売されていません。本CDで彼の歌の力に打ち震えてしまった人は、ぜひ中古レコード店で、オリジナルLPを探してみてください。
彼の歌声は、同じ高音シャウト系でも、先日亡くなったウィルソン・ピケットなどとは違って、どこか憂いを秘めたものを持っています。それがハイの透明感かつ空間的なサウンドとあいまって(私はハイのドラムのスネアの音が大好きです)、素晴らしい音楽を生み出しています。
暗い部屋でひとりでじっくりと聞いてみてください。

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