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Author:takayou
名古屋在住の35歳男性です。ソウル、ソフトロック、ポップスの、ややマニアックな名盤を紹介します。やはり良い音楽は、CDやLPとして持っておきたいものですね。


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オフコース

ワインの匂い(紙ジャケット仕様) ワインの匂い(紙ジャケット仕様)
オフコース (2005/03/24)
東芝EMI
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オフコース初期の名盤中の名盤。日本ソフトロック史に燦然と輝く金字塔。オフコースにとっての3枚目のスタジオアルバム。オフコースは後に松尾和彦など3人が加わりますが、それ以前の小田和正と鈴木康博とのデュオ時代にも捨てがたい魅力があります。5人の時代は、アメリカウェストコースト風のイーグルスやTOTOを思わせるAOR路線だったわけですが、2人の時代はA&Mなどのソフトロック路線に近く、近年のソフトロック再評価とともに、再び彼らの音楽が日本のソフトロックのさきがけとして見直されてしかるべき存在であると思います。オフコースの初期の音楽は、特に知的、学究的にもすぐれているものが多いのが特徴的です。ジャケ裏に譜面がついているサービスが時代を感じさせますし、個人的にはうれしい限りです。
①は、タイトルのように雨音のBGMから静かに入る曲。曲調がBmのマイナーコード曲なのに、出だし音だけがメジャーのBで入るところ、全体としてヨーロピアンな感じが出ているところがビートルズの「ミッシェル」を思わせます。ウッドベースのチョイスも渋い。最近の曲とはまた違った小田和正のソフトなヴォーカルも魅力的です。②は鈴木康博のアコースティックタッチな曲。③は西城秀樹のカバーでも有名な彼らの代表曲。ただ、このアルバムのなかでは異色なほどポップ。サビのコーラスは、今後のオフコース流コーラスの原型が聞けます。④も小田和正の美しい名曲。基本は3拍子なのですが、間奏で5拍子が入る変則的な進行です。コード進行もSUS4を交えながら半音で下がっていく独特の転調を繰り返しています。⑤もこれまた名曲。ユーミンに触発されてつくったという説もあります。メジャーセヴンスやナインスなどを多用したコード進行がおしゃれ。特筆すべきは小田和正の歌詞で、一人称で語られる話者の主体が女性と男性にめまぐるしく入れ替わるという、それでいて小田和正独特の象徴的歌詞が光るという逸品。話は変りますが、最近の小田さんの歌詞は変に饒舌になってしまっておもしろくありません。これも時代の流れでしょうか、聞き手のイマジネーションをくすぐる歌詞ではなくなってきています。この話題は後日あらためて行いたいと思います。⑥はふたたびヤスさんの曲。初期のオフコースのアルバムは、小田さんと鈴木さんの曲がほぼ半々でした。ただ、この辺の力関係はあのビートルズでも難しかったところ。やがて、ポールじゃないけど小田さんの曲が人気を得てくるようになります。⑦もヤスさんの曲。このアルバムでも正直言って小田さんの曲のほうが良い。ただ、アレンジャー、プレイヤーとしてのヤスさんの力量はすごいと思います。⑧は小田さんの小曲。途中で言われなければ分からないようなさりげない転調があるのがポイント。⑨はヤスさんのヘビーなナンバー。ウッドベースがかこいい。⑩は多くの人が名曲と称える曲。シングルカットもされていないのに、多くの人がオフコースのベストと賞賛しています。彼らにはもっと良い曲が他にもいっぱいあるんですね。⑪は小田さん、鈴木さんの共作。⑫はしみじみ胸に響く静かな曲。当初は「みんなのうた」のためにつくったそうですが、扱うテーマが「老人」と「死」では採用されるはずもありません。ということで、ソフトロックという文脈でこのアルバムを聞いてみると、この時代に日本でもこんなに先進的な音楽があったのかということに驚かされます。大瀧詠一、山下達郎、細野晴臣などとともに彼らは間違いなく当時の音楽シーンの最先端を走っていました。
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オフコース その7

I LOVE YOU(紙ジャケット仕様) I LOVE YOU(紙ジャケット仕様)
オフコース (2005/03/24)
東芝EMI
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一時解散前のラスト作(おまけの「NEXT」を除く)。1982年の作品。この作品を機に、鈴木さんが脱退してしまいます。
①の「YES-YES-YES」は、ミディアムテンポのオフコースの代表曲のひとつ。フレーズごとにコード進行を微妙に変えていたり、サビの繰り返しのところで転調している小細工がにくいところです。カッティングのアコギも、ホテルカリフォルニアっぽい感じがします。オフコースの曲の中で、もっともキーが高い曲のひとつ。ライブでのこの曲に関するエピソードは伝説となっていますね。②の「素敵なあなた」は鈴木さんの曲。シンセ・ピコピコサウンドが時代を感じさせます。間奏のギターソロがカッコいい。③の「愛のゆくえ」も鈴木さんのバラード。サビでファルセットヴォーカルを聞かせます。曲としての完成度は残念ながらイマイチ。④の「哀しき街」は、小田さん作詞、松尾さん作曲、松尾さんリードヴォーカルの曲。無機的で都会的なアレンジが光る佳曲。復活後のサウンドを予見させるような感じの曲です。間奏のところでEmからCmに転調してサックスソロが始まる瞬間が気持ちよいです。⑤の「揺れる心…」は鈴木さんの夜のアダルト路線の曲。「INVITATION」、「通り過ぎた夜」、「歴史は夜つくられる」の路線です。ディミニッシュコードなどを使用したクールなアレンジです。⑥の「きっと同じ」は小田さんのアコギ小品。アコギは鈴木さんが弾いているそうです。⑦の「かかえきれないほどの愛」は松尾さんのミディアムでハートウォーミングなナンバー。カーペンターズの「SING」のように、子供のコーラスが入っています。⑧の「決して彼等のようでなく」はホーンセクションが導入されている異色作。ただ、歌メロが弱いので、あまり印象には残りません。全体の雰囲気の重厚さ、執拗な繰り返し、最後のカットアウトなど、ビートルズ(ジョン・レノン)の「I WANT YOU」を彷彿とさせます。深読みすると、この「彼等」はビートルズを指していて、「君」とはすでに脱退を表明していた鈴木康博のことではないかと思ってみたりもします。鈴木さんにたいして言いたいこともあるが、ビートルズのように仲たがいして別れたくない、「I WANT YOU」だよというメッセージがこめられているような気がします。⑨の「I LOVE YOU」はシングルで先行発売されたもののリメイク。こちらのアルバムバージョンの方が、クールなアレンジで好感が持てます。シンプルで余韻のある歌詞とメロディ。1番、2番、3番で全く違うメロディライン。複雑なコード進行。ある意味、オフコースの音楽の先進性が最も凝縮された曲とも言えるでしょう。
本アルバムは、一時解散前ということもありまとまりもなく、一般には評価の高いアルバムとはされていません。私もそのとおりだと思いますが、やはり①、⑨は大変な名曲だと思います。
このあと彼らは1984年に復活し、3枚のアルバムを発表しますが、次第に曲のクオリティが落ちていきます。「君が嘘をついた」、「夏の日」、「緑の日々」、「たそがれ」など佳曲も中にはあるのですが、「夏から夏まで」や「It's All Right」などの駄作も多くなってしまいます。

オフコース その3

JUNKTION(紙ジャケット仕様) JUNKTION(紙ジャケット仕様)
オフコース (2005/03/24)
東芝EMI
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1977年の6枚目。前作に比べてリズム感が強調されて、ロック色が強くなりました。
①の「INVITATION」は、鈴木さんの夜のパーティー風景を歌ったアダルト路線の曲。後の「通りすぎた夜」につながっていく路線のムーディーな曲です。②の「思い出を盗んで」は小田さんのさわやかな曲。過渡期の曲という印象が免れず、やや弱い印象ですが曲としては悪くないという感じです。③の「愛のきざし」は小田さんのワルツ調の曲。「ワインの匂い」や「雨の降る日に」のような、ヨーロピアン調の感じがします。この曲はなんといってもコード進行が複雑を極めます。例えば、

Am7 A♭7 G7sus4 CM7 Gm7 F#7 B♭M B♭M
Cm7 F7 B♭M7 Gm7 Cm7 Am7-5 D7-9

といった具合です。④の「潮の香り」は鈴木さんの名曲。葉山のシーサイドをドライブしているというシチュエーションのさわやかでお洒落な曲。この曲もなんといってもユーミンばりの変則コード進行とめくるめく転調が素晴らしい。

A♭ A♭M9 D♭m7 C♭M7 C♭m7 F♭7 Am7 D9 F9 E7

ときてAにつながり、いつのまにか半音上がっているという展開!お見事としか言うことができません。⑤の「秋の気配」は、オフコースの中でもベスト10には確実に入る名曲ですね。直線的なメロディライン、サビで一気に爆発するコーラス、メジャーセヴンスを多用したコード進行など、今後のオフコースの作風の原点を確立した名曲です。ボサノヴァっぽいギターや、清水さんが苦心したと言われる間奏のベースラインもオツです。小田さんのコード進行のパターンとして、J-POPにありがちな、ベース音が下がっていく安直なコード進行(カノンコードなど)やマイナーコードのⅦ#音をほとんど使用しないのが、洋楽っぽく聴かせる特徴だと思います。⑥の「変ってゆく女」は鈴木さんの曲。ツービートでジャジーな曲。このころの鈴木さんらしく、シティーポップ然としたアレンジです。⑦の「あなたがいれば」は、小田さんが作詞、鈴木さんが作曲、ヴォーカルが鈴木さんという珍しいパターンの曲。アダルトなバラードです。これも間奏でジャズのような展開になります。⑧の「恋人よ そのままで」も鈴木さんの曲。キーがA→C→E♭とめまぐるしく変っていきます。この曲もやはり、シャッフルのお洒落な感じの曲です。⑨の「HERO」は、小田・鈴木共作の組曲風の大作。友人がミュージシャンとして成功したが、それは「あいつの言葉じゃない」。自分を曲げて成功するよりも、歌を「恋人にささげる」方を選ぶ、といういかにも彼ららしい歌詞です。しかし、それもこの後に発表された「さよなら」の大ヒットで彼ら自身も悩むことになるのでしょうけれど。。。
本作は、小田さんの曲は「秋の気配」を除いては、あまりぱっとした印象がなく、どちらかと言えば鈴木さんのアレンジ面での冴えがみられます。オフコースでは数少ない鈴木さん主体のアルバムと言えるでしょう。

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